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飼っていた鳥が死んだ。

動かなくなった体も愛しくてたまらなかったから、そのまま傍にとっておきたいと思ったけど、時の流れが姿を変えてしまうを見るのは耐えられないと思ったから、鉢の土の中に埋めた。

粟穂とえん麦を供えて、鉢をベランダに置いた。

 

しばらくすると土の表面に白くて柔らかな黴のようなものが現れた。

ベランダには雨が時々降りこむから、夏には緑の草が芽吹いて伸びはじめた。

鉢いっぱいに生い茂る。

私はえん麦の草を食べた。

鳥は土になり、草になり、私の体の一部にもなったのだろうか。

 

分解されること。移り変わること。

今あるすべてのものは、いつか別のものになるのだ。

たまたま今はこの姿をしているのか。

 

 

 

 

インコが好きだ。

姿、しぐさ、囀り、匂い、優しい性質。

生命力に溢れているのに、

小さくて儚い。

美しいものがつまっている。

 

 

 

「旅をする」

「君のいる場所」

第11回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2015入選「小さき世界」

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